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純谷吉松(Itoya Kichimatsu)


■2002年10月のニュース一覧
▼[2002.10.31]ファントマ・ブラスト
▼[2002.10.30]面白さ,成長,加速,基本,
▼[2002.10.29]ネゴシエーション・レトリック
▼[2002.10.28]安心のあしたへの道筋
▼[2002.10.26]日常と最後の違い
▼[2002.10.25]そも,検索,こそ
▼[2002.10.23]至上無比の保管場所
▼[2002.10.21]クロスの絶対
▼[2002.10.20]創作の砦
▼[2002.10.18]違う,違う,「好き」
▼[2002.10.16]♪ビット・ブック・カム・ヒア
▼[2002.10.14]抱腹絶倒法案
▼[2002.10.12]ページは繰られ
▼[2002.10.10]2002年の1984年
▼[2002.10.09]絶対最終圧縮律法経
▼[2002.10.08]静力増進
▼[2002.10.07]あしたからのネットワーク上
▼[2002.10.05]最終,シンクロ
▼[2002.10.04]エターニティ・ザ・ナップ
▼[2002.10.02]唯一守るべき法律
▼[2002.10.01]生きるに信頼できる世界

■2002年11月のニュース一覧
■2002年09月のニュース一覧


 
[2002.10.31]
  ファントマ・ブラスト


 ▼インターネットを通じて触覚で会話!! --- MITとUCLが実験(MYCOM PC WEB)
  http://pcweb.mycom.co.jp/news/2002/10/30/51.html


 ネットワークに風が吹く。吹き荒れる風が肌を突き刺し,視界を遮る。…誰か,いるのか? …悪寒にハッと気付いて振り向こうとした瞬間,首筋にかすかに触れる指先を感じた。それが,最期だった。

 マサチューセッツ工科大学ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの研究者によって,ボストンとロンドンをインターネットで結んだハプティック(触覚)技術の実験が行われた。触覚刺激が脳に伝わる時間ほどにネットワークの伝達速度が速くなれば,ネット上での作業が自然な感覚で行えるようになる。

 残っている問題は,やっぱりネットワークのスピードが行動と同期するのか,というただそれだけ。タイムラグのある電話やTVなどでの違和感とまったく同じで,ただそれだけだ。それが解決すれば,ネットワークで触覚は普通に用いられるものになる。触覚が伝わるのか,とか,どう触れるのか,なんてことはすでに解決している問題だ。

 ファントム(PHANToM)というハプティックデバイスの名前は,当然ファントマ(PHANTOMa)を思い出させる。ファントマとは,スーヴェストル&アランの書いたミステリーに出てくる大怪盗の名。悪魔のような犯罪者がネットワーク上に触覚を持って現れる,という図式は背中がぞくぞくするほど愉快だ。血も凍るような,魔の手が忍び寄ってくる,その手が首筋に伸びてきて,ぎゅっとつかみあげる,IPによるそんな社会を,憧憬しよう。




 
[2002.10.30]
  面白さ,成長,加速,基本,


 ▼完全匿名のファイル交換サービス『Freenet』に新バージョン(CNET Japan)
  http://japan.cnet.com/News/2002/Item/021029-2.html


 つまんないからネットワークの成長は止まった。もう一度,とてつもないスピードでネットワークを加速させる,唯一の手段,それがフリーネットだ。

 完全匿名でファイルを公開・配付できるフリーネットの新バージョンがリリースされた。フリーネットは一般のピア・トゥ・ピア(P2P)サービスでは提供できない,高いレベルでの暗号化と匿名性の確保に相当な時間を費やした。

 変な国家や企業の権力によって,検閲どころか削除まで平気で行われているような今のインターネットはつまらない,なんて野暮ったいことを書こうと思っていたらそのフレーズはどっかでみたなと思い返していた。「インターネットはつまらないという人への無言の抵抗」「大本営発表以外の情報」,…あめぞうか。あのときに,これらのフレーズを表題として付けていたのは,(たとえ単なるパラドックスだとしても)今考えると偉大だったのかも,と思ったり。

 実際のところ,どこにも(掲示板にも,ファイル共有にも)匿名などないことを誰でも知っているようになってしまったインターネットは,果てしなくつまらない。で,その代わりとなる,本当におもしろい社会はフリーネットにある。無検閲という偉大なる思想は一部の人にしか意味がなく,広く使われるにはおもしろさが必要だ。んでもって,注目ばかりされているP2Pも,完全匿名にならなければ花開かない。だって,今のP2Pはつまんないもん。今のP2Pは,フリーネットなP2Pが来るまでの代用品でしかない。フリーネットなP2Pが,ネットの「基本」となる,もうすぐね。




 
[2002.10.29]
  ネゴシエーション・レトリック


 ▼Apple と IDG World Expo が Macworld Expo をめぐって対決(TidBITS)
  http://www.tidbits.com/tb-issues/lang/jp/TidBITS-jp-652.html#lnk2


 「交渉事には,誠意というものが必要だ。今回のケースでは双方にそれが欠如していた。ネゴシエーションとは,プロとプロが交わすべきもの」。(who: roger smith, THE BIG-O

 マックワールドエキスポをめぐって,アップル社と主催者のIDG・ワールド・エキスポ社の対決姿勢があらわになった。2004年夏の東海岸の開催をニューヨークからボストンに変更したことをIDGが発表し,アップルはそれに不参加を表明した。アップルの不参加は,直営小売店の方の効果を重視し,マック関連の出版物にほとんど広告を出さないなど既存顧客へのマーケティングを少なくしていることと同じ理由からだ。だが,アップル参加しないマックワールド・エキスポなどクリープを入れないコーヒーみたいなものだ。

 泥沼のような状況が手に取るようにわかる。互いの札を1枚も譲ることを許さず,最悪の結果となったと云ってもいい。もし幕張でのマックワールドエキスポ/東京にアップルのブースがなかったらどうだろう? 毎回たいした発表をすることがないとは云え,スティーブ・ジョブズが来なかったらどうだろう? 注目度,来場者数,参加出展者数,そして,意味,そのすべてが激減する。

 日本のマックの雑誌にアップルが広告を出しているかどうか知らないが,既存顧客よりも新規顧客に精を出す気持ちは正しい。今アップルが行うべきは,確かにそれだ。そして,エキスポに注目するのは既存顧客がほとんど。価値は少ない。だが,ひとつの交渉事として,お互いがすべてを失って終わることなど,最低の結末でしかなく,どんな事情であれ,プロが行うべきものではない。おちたものだ。




 
[2002.10.28]
  安心のあしたへの道筋


 ▼Will Apple computer abandon the G5?(Geek.com Geek News)【英語】
  http://www.geek.com/news/geeknews/2002Oct/bch20021018016867.htm


 これはもう決定事項,あしたへ進む唯一の道筋,と云ってよさそうだ。

 メインフレームであるパワー4チップを基とする,IBM社の64ビットのパワーPC 970チップによって,モトローラ社はIBMにアップルのチップ市場を譲ってしまいそうだ。それによってモトローラのG5チップは組み込み型チップの市場へとフォーカスするかもしれない。G5には競争力がなく,アップルはマックをリフレッシュするのに,OS Xに加えて970チップは魅力的だ。

 アップルはG4への移行をしたことを後悔している,というのが正しいようだ。もちろん現行ほとんどとなるG4チップのユーザーに対してそんなことは云わないが,G3に固執したIBMを捨てて,「明確に」G4への「転向」を決めたあのときのアップルの決断に,アップル社内,そして一部のユーザーは果たしてこれでよかったのだろうか? と日増しに不信感をつのらせてきた。そしてその不安は,進まむチップスピードや,抑えられぬ発熱性などで,「明確に」マックハードウェアの「癌」とまで云われるようにまでなってしまった。

 パワーPC 970(VMXと呼ばれていたもの)がG4への移行を決めた決定的材料となったアルティベックと互換性のあるベクトル演算ユニットを持ち,IBMがマックハードウェア上でのG3チップでみせていたポテンシャルを発揮してくれるとなれば,G4の次として,モトローラのG5ではなく,IBMの970チップへと移行するのは,当然のことだ。OS Xのため,あしたのアップルのため,いまもっとも安心できる選択肢は,970チップ以外にはない。




 
[2002.10.26]
  日常と最後の違い


 ▼ルートサーバーへの一斉攻撃は不発(CNET Japan)
  http://japan.cnet.com/Enterprise/News/2002/Item/021024-1.html


 今日世界が終わるとしたら,今日のうちにしておきたいことはなんだろう? なにか,ある?

 世界13ヵ所にあるルートサーバーがDos攻撃を受けたが,インターネット自体にはほとんど影響がなかった。ルートサーバーが攻撃されることは以前にもあったが,13基が一斉に攻撃を受けたのはまれなことだ。

 なんか前にもルートサーバーがえらいことになったことがあったなと思っていたが,2000年8月の事故のことだった(過去記事)。ルートサーバーについてもそちらの記事を参考のこと。もちろん前回と違うのは,今回のは誰かが意図的に行った,作為的な事件によるものだったということだ。Dos攻撃のレベルとしては決して高いものではなく,スクリプト・キディでもできるようなもの。だが,だからこそもっと巧妙に狡猾に,そして圧倒的な破壊力を容赦なく振り絞れば,ZDNetやCNETを確認することもできなくなるような,余裕のない大混乱にもなる,ことを思い知らされる。ネットワークは常に,死と背中合わせなのだ。

 が,それは別にネットワークだけの話ではない。リアルとて,同じ。たとえ世界の終わりが今日やって来たとしても,多くの人は昨日と変わらない今日を過ごしているかもしれない。泣いてわめいたって終わってしまう世界に,なにを文句を云ったって変わらない。生死の境目,は決してドラマチックなものではなく,それ自体も日常のひとつでしかないのだから。今回の攻撃によるロストパケットのグラフ(Matrix NetSystemsのページ)をみながら,そんなことを考えていた(Impress INTERNET Watchの記事)。




 
[2002.10.25]
  そも,検索,こそ


 ▼理想のウェブってどんなウェブ? ネットの世界が求めているものは(ASCII24)
  http://ascii24.com/news/inside/2002/10/18/639345-000.html


 検索こそ根幹。検索のないサイトは,大きな欠落がある。グーグルを利用してでも,検索システムを持つのは,サイトとして当然のことだ。

 最近の調査では主要な検索エンジンで検索されたキーワードで「yahoo」や「2ちゃんねる」などが上位を占めた。サイトの場所を探すのに検索エンジンが使われ,一部の人はブックマークやアドレス欄を使っていない。ウェブの世界はフラッシュが幅を利かせているが,検索エンジンはテキスト情報しか集めない。シンプルなテキスト主体のサイトを望む声もあり,今後みた目重視のサイトとどのような兼ね合いで進んでいくかは興味深い。

 この記事を読んで微妙な違和感をおぼえた人は多いのではないだろうか? その違和感は正しい(というよりこのような記事を載せているからASCII24はいつまでたってもつまらない,と云っていい)。ウェブはその始まりから,検索エンジンこそすべて,である。それは最近の流行などではない。ウェブの基礎は1945年,ヴァニヴァー・ブッシュのメメックス(MEMEX,記憶の拡大構想)になる。メメックスは,すべての情報を蓄積して,それに柔軟な検索システムによってアクセスし,関連する情報へとリンクでつなげる,という根幹により成り立っている。インターネットが登場してヤフーがすぐに大きな存在となったのは,検索があってこそというのを実証することだった。

 グーグルが「I'm Feeling Lucky」ボタンを備えているのも,いちいちサイトを選択する手間を省くためではない。検索こそがウェブの基礎であり,目的のサイトへ行くための本道であるからだ。ブックマークはそれのショートカットでしかない。また,検索エンジンのためにはテキスト中心でなければいけないというのも間違いだ。グーグルでは,そのページ(または画像でも,フラッシュでも)にリンクしている言葉をキーワードとしてピックアップしている。たとえばNHKのサイトがトップページに1つも「NHK」というテキストを書いていなくても,「I'm Feeling Lucky」ですぐにNHKのサイトにアクセスできる。「NHK」という言葉でリンクしているサイトがあれば,それで十分なのだ。そも検索,で,この世界は成り立っていることを,きちんと認識しておきたい。検索はなにかの代わりとして存在するのではなく,_ウェブそのもの_なのだ。




 
[2002.10.23]
  至上無比の保管場所


 ▼米海軍でも約600台のコンピュータ紛失(ZDNet News)
  http://www.zdnet.co.jp/news/0210/21/xert_navy.html


 ひとつところにあるデータは,すぐになくなる。大事にしまっておいてもなくなる。これは避けられない,法則みたいなものだ。

 米国海軍の内部文書によると,米国太平洋艦隊で7月末時点で600台近いコンピュータが紛失している。うち14台以上には機密データが入っていたという。海軍監査局はこの件について,「国家安全保障の脅威であり,米国海軍の恥とも云える」と報告している。

 なくなった600台に入っていたデータ量を考えたら,開いた口が塞がらない話かもしれない。最低でも数GBのハードディスクは備わっているだろうし,そこになんGBのデータがあったか。開いた口が塞がらない話というより,笑い噺ともなりそうだ。

 データをなくさない最後の方法は,ネットワークストレージだ。ローカルにあるデータというのは,なにかとなくなる。もちろん,ネットワークストレージ上のデータもなくなるときはなくなるのだが,たとえば,ネットワーク上の2個所にミラーリングをしたり,フリーネットなどと同様に,ネットワーク上を常に流通するような形態にすることで,すべてが一瞬でなくなることはなくなる。ローカルのハードディスクにあるのと同じようにネットワーク上のデータに迅速にアクセスできる手段が整いさえすれば,ネットワークは最後のデータ保管場所になる。至上,無比の。(過去記事




 
[2002.10.21]
  クロスの絶対


 ▼幹部に告ぐ:自分のドッグフードを食べなさい(@IT)
  http://www.atmarkit.co.jp/news/katt/2002/katt11.html


 クロスプラットフォームこそ,絶対。固有のOS,ソフトウェアに縛られるのは,前時代のやり方。と,認識しなければ,これからの社会では生きていけない。

 サン・マイクロシステムズ社は同社スタッフに,ウインドウズをプレインストールしたハードの購入を禁止したらしい。また,幹部にウインドウズやオフィスを使わないように促していが,リナックスやソラリスプロジェクトを統括する副社長でさえ,パソコンからマイクロソフト製品を削除したのは最近のことだという。

 ネットワークは完全にクロスプラットフォームになっているのに,OSや一部のソフトウェアはいつまでも自分の殻に閉じこもっている。まぁ別にそれを批判しても仕方がないのはわかっているが,ではどこまでクロスプラットフォームな部分を作っておけるかは,OS・ソフトウェアの評価基準となる。過去記事の話にもつながるが,なぜにユニックスが好きで日常的に使っている人間が,ウインドウズやマックOS Xを使わなくてはいけないかというと,それはユニックス用のMSオフィスがないからだ。

 一言で済ませるならユニックス用オフィスをリリースできないMSがクズなだけだが,それ以前の問題として開発環境がクロスプラットフォーム向けに作られていない問題が大きい,と考えたい。マックOS Xのココア環境で開発をしている人ならわかるだろうが,ココアはJAVAやCなどの言語をOS X環境に持ち込む掛け橋として使うことができる。他のプラットフォーム向けのJAVAやCのコードに,ココアでOS Xのインターフェイスをかぶせれば,OS Xの流儀に沿ったソフトウェアができ上がる。他のプラットフォームにもその元のコードをそのまま使い回せる。もちろんインターフェイスを整えるのは大仕事だが,その価値の大きさはネットワークの時代にはないと始まらないほどのものだ。どのような開発環境を次世代のために作らなければいけないか,のひとつの目安だろう。




 
[2002.10.20]
  創作の砦


 ▼檻の中のミッキーマウス(MYCOM PC WEB)
  http://pcweb.mycom.co.jp/news/2002/10/15/03.html


 パスティーシュ? インスパイア? いや,それは言葉を変えただけだ。現在において,すべての創作は「盗み出すこと」以外からは,始まらない。

 いま,ミッキーマウスの著作権問題が最高裁で審議されている。米国で著作権法が定められたのは1790年,最初は著作権期間は14年で,さらに14年の延長が可能だった。それが個人作品は作者の死後50年,企業作品は75年になり,1998年にはさらに20年も延長された。それらは作者の創作意欲のためというより,エンターテインメント・ビジネスの事情によるものだ。

 優れた作品を紡ぎ出す人たちを軽蔑しようなんて思わないが,エンターテインメント業界の行動は,激しく軽蔑に値する。それは米国も日本も同じだ。そういう行動を許す態度が,コピープロテクトCDのような作者の創作を台無しにする結果を生んでいる。問題として取り上げるべきは,エンターテインメント業界のバカさ加減ではなく,それを許し続けている消費者の態度だ。

 現代において,まったくの「無」からモノを作るというのは不可能だ,と云われる。すべての創作は,意図的であれ,無意識であれ,過去のなんらかの作品の影響を受けて行われている。それを否定できる人間は,自己欺瞞に満ちた世間知らずだけだ。間違いを恐れずにいえば,現在のすべての作品は盗作であり,剽窃に満ちている。悪く云っているのではない,それが「普通」なのだ。私がいまここで記しているテキストも,もちろんそうだ。その,当然のことに対し,金のための権利のみを主張し続ける者たちは,創作の世界でももう生き残れないし,情報の自由な流通を基礎とするネットワークの世界でも生き残れない。あとは,もっと多くの消費者が目を覚ますだけだ。




 
[2002.10.18]
  違う,違う,「好き」


 ▼O'Reilly Mac OS X Conference 報告(TdiBITS)
  http://www.tidbits.com/tb-issues/lang/jp/TidBITS-jp-650.html#lnk2


 99%のソフトウェアと50%のハードウェアで,もう同じ「好き」は存在しない,と云われる。ということは,違う「好き」を引き出せなければ取り返しのつかない失敗に終わる。いま,アップルはそういう状況にある。

 先週のオライリー・マックOS X・カンファレンスは,マックとユニックスの双方から指導的立場の人が集まった。キーノート中の調査では,OS Xの前にユニックスを使っていた人も,OS Xの前にマックを使っていた人も75%ぐらいで,両方に手を上げた人も多かった。仕事場でユニックス,家ではマックを使っていた人が多かったのかもしれない。

 アップルは変わった。それはもうまったく別モノのように変わった。OS 9のときのアップルが好きだったという人で,OS Xのアップルも同じ理由で好きだという人はいないはずだ。そんなことは,あり得ない。たとえば,以前のアップルは自分の会社が作ったモノ以外はなにも認めようとしなかった。意固地なまでの純血主義を貫き通していた。だがいまは,オープンソースを身にまとい,オープンスタンダードの実装をいちばんに考えている。MPEG4完全サポートのクイックタイム,ゼロコンフ規格に準拠したランデブー,オープンGL 3Dによるクオーツ・エクストリーム,vCard書き出しをサポートしたアドレスブック,iCalendar形式準拠のiCalなど,もちろんOS Xコアのマーク・カーネル,BSD,さらに素晴らしいJAVAの実装も含まれる。

 過去のアップルには,アップル教信者とも云うべき者たちがいた。ハタからみたら今も同じと思っている人は多いかもしれないが,それは偏見にとらわれているだけで,実際はそのような印象がかなり薄らいだ。それは,過去の信者をOS Xで裏切り続けていることにもよるし,新しいユニックスユーザーを親身に迎え入れていることにもよる。そしてユニックスユーザーは,かなり好意をもってOS Xに接している。以前はウインドウズとユニックスのデュアルブートマシンを使っていたが,いまはマックOS Xだけだ,というユニックスユーザーは多い。彼らの声,そしてOS Xの新しいマックにほれ直した古くからのマックユーザーからの,いままでとは違う「好き」が,明日をつくっていく。




 
[2002.10.16]
  ♪ビット・ブック・カム・ヒア


 ▼iPhoto Visual QuickStart Guide が PDF でも入手可(TdiBITS)
  http://www.tidbits.com/tb-issues/lang/jp/TidBITS-jp-650.html#lnk1


 パルプの紙の神さまはそろそろ歳を取りすぎている。ビットの紙の神さまが,降り立つ歌が聞こえてくる。♪ビット・ブック・カム・ヒア。

 『iPhoto 1.1 for Mac OS X: Visual QuickStart Guide』という書物を購入した人は,この本の全部をPDFフォーマットでダウンロードできる。すべてのウェブのリンクとメールアドレスもクリック可能になっている。get-iphoto-vqs@tidbits.comにメールを送れば,ダウンロードサイトの場所とパスワードが送られる。

 電子書籍はさっぱり普及しない。紙に対する愛着はもちろんあるだろうし(過去記事),PDAや携帯電話ではまったくみやすくなく,パソコンでは紙の本のように気軽にどこでもページを繰ることができない,という難題がついてまわる。でも,DTPの経験がお有りの方は知っているだろうが,書物をすべてPDFで出力することなど,そのあとの印刷のプロセスを考えたら左手の小指だけでできるようなことだ。

 クオークならEPS保存をして,アクロバット・ディスティーラーにドロップするだけだし,アドビのインデザインはそのままPDF形式で保存できる。PDFが電子書籍のフォーマットとしていちばん優秀だとは思わないが,電子書籍が流通する基礎はもうできている。なにかひとつきっかけがあれば,すべてが変わる。音楽は売れないのを違法コピーのせいにして馬鹿を丸出しにしているが,出版は大きな不況の中にいても,まだ違法コピーなど存在しない。ならば,自ら一歩,新しい神の至福を受けに,歩み出してみる勇気があってもよさそうだが。




 
[2002.10.14]
  抱腹絶倒法案


 ▼著作権侵害防止法でアレも歌えなくなる!?(@IT)
  http://www.atmarkit.co.jp/news/katt/2002/katt10.html


 情報の複製をすべて違法とする法案は,情報の自由な流通を基礎とするネットワークを根本的に否定する。そんな,笑える,法律だ。

 デジタル配信をものにできないハリウッドの無能さを表しているのが,コンシューマ・ブロードバンドおよびデジタルテレビジョン・プロモーション法だ。これによってすべてのデジタルデバイスに著作権侵害防止機構が取り入れられることになり,用を足したらデバイス音を流すおまるなども違法なデジタルデバイスになるらしい。

 日本では他人事なこの法律だけど,この法案によって米国で発売されるすべてのテレビキャプチャ製品に著作権管理機構が必要となる。キャプチャした動画はキャプチャしたパソコン以外で再生できなくなり,ファイル共有ソフトでやり取りしたり,CDやDVDに焼いて友人に渡したり,もできなくなる。海外から輸入したキャプチャ製品をそのまま使うことになんらかの弊害が生まれる可能性がある。他人事ではすまない。

 で,それだけにとどまらない。有名な曲を流す目覚まし時計もその曲がコピーされない防止措置を施さなければいけないし,クリスマスソングを流すクリスマスの装飾品や,デジタルで音を処理するデジタル補聴器,デジタル音の曲を収録している留守番電話機も規制対象となる。その曲のデジタルデータに簡単にアクセスできるような製品は,違法,として処罰される。他人事としては抱腹絶倒だけど,自分の生活がそんなSMチックな製品で囲まれるとしたら,もういいやという気分になるかもしれない(すべての音・映像が出るものが現在の日本のコピープロテクトCDのような感じになる,と考えるとわかりやすい)。音楽も映像ももう要らない,そういう世の中の方が楽しい,と考えて過ごす日々もやってきそうだ。




 
[2002.10.12]
  ページは繰られ


 ▼PC-9801 20周年を背水の陣で迎えたNECのパソコン事業(Impress PC Watch)
  http://www.watch.impress.co.jp/pc/docs/2002/1011/gyokai36.htm


 喜びにも,悲しみにも,はじまりがあって,おわりがある。はじまりがない一冊の書物なんてないし,おわりのない一冊の書物もない。パソコンの社会も,同じ。

 NEC社はPC-9801投入から20周年となるパソコンを含むパーソナル事業で,2001年度は300億円の赤字,今年度上期も赤字は必至となっている。今年の冬モデルは同社のパソコン事業の命運を左右する製品と云える。パソコン事業売却という話も出て,いままで同社にはなかった施策が繰り広げられている。

 NECのパソコンハードのシェアが,いまのマイクロソフトのウインドウズOSほどもあったときのことが,昨日のように思い出される。PC-88・PC-98以外のパソコンハードをみることなんて「珍しい」ことだった,富士通のFMシリーズやシャープのX1など,NEC以外のその他大勢が,いまのマックOS以下のシェアをわけあっていたようなものだった(MSXとかは除くけどね)。そのときに,誰が,いまの,NECを予想できたか?

 ふと,数年後,前段落の「NEC」の言葉が「マイクロソフト」に変わる日もくるのだろう。NECのパソコンがなくなる,という言葉にいいようのない寂しさを感じるように,でも,すべてにおわりがあるように,刹那の流転,永劫の流転は繰り返す。その繰り返しが,社会と呼ばれるものになる。ページは繰られ,いつかいつしか終わりのページとなる。




 
[2002.10.10]
  2002年の1984年


 ▼パームはブランド名に凝りすぎ?(@IT)
  http://www.atmarkit.co.jp/news/katt/2002/katt09.html


 「権力とは,人間の精神をずたずたに引き裂いて,思いのままのカタチに作り直すこと」と,『1984年』の中で語られている。さて,いま権力を思いのままに行使しようとしている人間は,どこにいる?

 インテル社が自社のチップに著作権違反監視機能を実装しないと決定したことで,ハリウッドから怒りの声が浴びせかけられている。インテルは批判をかわすため,著作権違反を摘発する社内調査を実施,上層部役員を含む10人を解雇,多くの従業員が戒告処分になったそうだ。なんでもインテルの著作権違反監視機能を実装しない決定は,ビッグブラザーのように人々の怨嗟を生み,ライバルのAMDに顧客が流れるのを恐れてのことらしい。

 スペンサー・キャットのテキストを読みながら,そういえば今日どこかでも「ビッグブラザー」の話が出てきたなと思っていたら,産經新聞の記事中だった。こちらはビッグブラザーのネタ元であるジョージ・オーウェルの『1984年』と照らして,北朝鮮の拉致被害者の洗脳ぶりから独裁政治について記したものだが,著作権違反監視機能実装への圧力は,それと同じ印象を与えるということだ。

 別に音楽業界や映画業界を首領様とあがめたい人は勝手にやってもらって構わないが,きちんと冷静に判断すれば,彼等の行動は全体主義的な独裁体制を築きたい政治屋のやっていることと同じである。最終的には自分達の保身のためだけに,洗脳の文句を並べたニュースリリースを出し,社会を煽動しようとする。あなたが,北朝鮮の政治体制になにかの違和感を感じているのなら,まず自分の国で,自分に対して行われている政治的状況を見直してみることをお勧めする。(関連っぽい,CNET Japanの記事




 
[2002.10.09]
  絶対最終圧縮律法経


 ▼オープンソースの音声動画圧縮技術『Theora』α版リリース(CNET Japan)
  http://japan.cnet.com/News/Flash/2002/2002-1004-F-2.html


 祭るべき所作,律法経の名にふさわしいもの,とは。

 オープンソースの音声・動画圧縮技術「セオラ」のα版がリリースされた。ライセンス料や特許使用料が不要のオープンソース技術として提供される。正式版は来年6月にリリース予定。

 今年6月に発表されていた(過去記事)ビデオコーデックのVP3とオーディオコーデックのオッグ・ボルビスの融合が,姿を現した。セオラという名の動画圧縮コーデックは,聖典として扱われるにふさわしい。ウインドウズ・メディア9(コロナ)を踏みにじれ,クイックタイムのMPEG4を蹴落とせ。崇高なるものにだけ,誠意を捧げよ。

 結局のところ,ネットワークの社会で一部のOSを提供している会社に優先権のあるコーデックが,絶対の価値を得るのは不可能だ。マイクロソフトとアップルがウインドウズ中心,マック中心にしか物事を考えられないうちはコロナもMPEG4も絶対最終コーデックとはならない。オール・プラットフォームに展開できるのならその可能性はわずかに残るが,まぁ不可能だろう。そして,いまその絶対最終圧縮律にいちばん近いのはセオラだ。セオラこそ,律法経,ダルマ・スートラたる。セオラの下にこそ,真の生活は,ある。




 
[2002.10.08]
  静力増進


 ▼究極の静音マシンを自作しよう! 〜無音PC「無音くん」の製作(MYCOM PC WEB)
  http://pcweb.mycom.co.jp/special/2002/muon/


 ちょっとずつ,「静かさ」は力である,という意識が強くなっている感じがする。それは,やかましいパソコンへのわずかな抵抗心かな?

 自作パソコンのトレンドのひとつとして静音パソコンも定着しているが,無音パソコンを自作してみた。ファンレスのCPU,ACアダプタのみで動作するファンレス電源,コンパクトフラッシュ(CF)カード→IDE変換アダプタをハードディスク代わりにする。できた無音パソコンはパフォーマンス面では厳しいが,夜の海の音よりも静かだった。

 笑った(^^ゞ。アップルのハードについては前にも述べたが(過去記事),アスロン,ペンティアム4,そしてパワーPC G4のどれを搭載しているハードも,おしなべてやかましい。常時接続が一般的になり自宅パソコンでサーバーを運営することも多くなり,動画ファイルを扱うことが多くなって高性能なCPUでもそれなりに時間がかかる動画のエンコードをすることも多くなっているのに,常時雑音をまき散らすパソコンが増えているのは,どうも使用法と逆行している。

 最近パソコンを初めて買ったという人は,ハードディスクの音を知らないという。流体軸受などの静音処理のせい,ではなくただ単にそれ以外のファンの音にかき消されているだけ。ハードディスクへのカリカリカリというアクセス音を理解して,スパイウェアやワーム,ウイルスなどが勝手に行動していることを察知できることがあったのも遠い昔。パソコンとの接し方自体も,騒音によって知らぬうちに変化が生じているのかもしれない。思い出に浸ってもしょうがないことばかりだけど,初期型iMacなども偉大だったなと思い返すわけですなぁ。




 
[2002.10.07]
  あしたからのネットワーク上


 ▼「コンピューターと通信機器は融合へ」――オッテリーニ米インテル社長(CNET Japan)
  http://japan.cnet.com/Enterprise/News/2002/Item/021004-3j.html


 残るのはネットワーク統合型チップぢゃない。ネットワーク唯心論的指向に基づいた,チップだ。

 インテル社のポール・オッテリーニ社長兼COOが来日し,インテル・マネジメント・セミナーで講演した。オッテリーニ社長は,コンピュータと通信機器が融合していくという展望を示し,あらゆる機能をチップに統合していくという同社の取り組みを強調した。

 携帯電話,という存在はなくなる。IPというプロトコルから逸脱した音声通話という存在は,もうすでに必要性を失っている。IP網以外の独自通信・電波環境は必要ない。テレビ・ラジオという存在も,IP以外の場所に生きる場所などはない。現在行われようとしている地上波デジタル化なども無駄でしかない。なぜか? すべての機器にIP網へのネットワークアクセスの機能が付き,それだけに端末のコストダウンなどのメリットが生じるのに,それ以外の通信・電波を使うことなど無駄が多いだけだからだ。

 パソコンという存在も同じだ。「IP網への統括」が,より起こる。ローカル,という概念がなくなり,すべてがネットワーク上に存在する。データも,ソフトウェアも,ハードディスクも,メモリも,CPUも,すべて。インテルはプロセッサ・チップはローカルにあると思っているかもしれないが,残るのはネットワークチップ・オンリーでいい。CPUは世界中に散らばって存在していればいいんだ。絵空事を云っているんぢゃない。すぐ,あしたのことだ。そしてあさってには,人間と云う存在自体,ネットワークに解き放つときが来る,来るんだ。




 
[2002.10.05]
  最終,シンクロ


 ▼MacとiPod/携帯電話/Palmでデータ同期ができる「iSync」β版リリース(MYCOM PC WEB)
  http://pcweb.mycom.co.jp/news/2002/09/30/14.html


 複数のデバイスがあるならシンクロさせる必要がある。ひとつなら,つまりは,なくなる。

 アップル社は,マック上のアドレスブック,iCalのスケジュールデータを,ブルートゥース内蔵携帯電話,パームOS搭載端末,iPodと相互にシンクロナイズできるiSyncのβ版をリリースした。正式版の提供時期は調整中。

 これまでアドレスブックのデータ,iCalのデータを各端末に入れるのは面倒だった。それぞれ名前を付けて書き出し,それをマウントされているディスクの所定の位置にコピーしなければいけなかった。それがボタンひとつですむんだから,楽。だがいまのところ用途は限定され,iCalとアドレスブックを使ってない人にはなんの役にも立たない。だが,iPodがMPEG4ムービープレーヤーに進化し,iTunesのように機能するムービーカタログソフトがないとしたら,iSyncがムービーファイル・シンクロナイザーとしても機能するだろう。当分の間は,だが。

 将来,もし,手のひらにデスクトップパソコンを載せて持ち運べるようになったら(またはネットワーク経由でシームレスにアクセスできるなら),同期する,シンクロする,という作業はなくなる。どこにでも同じ環境を持ち歩けるんだもの,データを合わせる必要などない。先日のノートパソコンの話と重ねれば(過去記事),それもあながち遠い未来の話ぢゃない。データをシンクロさせるのではなく,机の前にいる人間と街中を歩いている人間をシンクロする,これが最終形態,となる。




 
[2002.10.04]
  エターニティ・ザ・ナップ


 ▼MTV、ナップスター創設者の伝記映画製作へ(Nikkei BizTech News)
  http://biztech.nikkeibp.co.jp/wcs/leaf/CID/onair/biztech/comm/209884


 ナップスターは,消えない,終わらない,伝説にもならない。そこに,ここに,居続けるのだから。

 音楽専門チャンネルのMTV社は,音楽ファイル共有のナップスター社の創設者,ショーン・ファニング氏の伝記映画を製作することでファニング氏と合意した。2003〜4年に放送予定。

 2年前,MTVのビデオ・ミュージック・アワードに招待され,ステージにあがるファニングの姿があった(過去記事)。その後,ナップスターは息の音を止められ,ベルテルスマン社への買収も阻止され,あとは死を待つのみとなっている。だが,世界中を自由に飛び回る音楽ファイルの量は2年前の数倍にまでなっているだろう。そして,この先,それがとどまることはない。

 ファニングがネットワークに触れたのは1996年,高校2年のときだったという。そして大学1年の1998年,友人がライコスのMP3検索エンジンを利用してMP3を探しているのをみて,より効率的なソフトを作り出した。彼のハンドルネームをとってナップスターと名付けられたそのソフトは,彼の大学寮の部屋のパソコンをサーバーとして運営されていた。だが,事業化した翌年には3000万人近くのユーザーを抱え,その後6000万人近くにまでなった。彼は云っている。「ナップスターは,ネットワークの基本構造そのものだ」。なにか新しいものを生み出したんぢゃない,元からあったものそのままを使っただけ。ネットワークの姿を忠実に表したものでしかなかった。だから,これからも消えない。ナップスターを否定することは,ネットワーク自体を否定することだ。だから,終わらない。ナップスターは,ネットワーク上に,そして私たちの心に,未来永劫残り続ける。




 
[2002.10.02]
  唯一守るべき法律


 ▼「暴力的なビデオゲーム」規制条例をめぐる争い(WIRED NEWS)
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/culture/story/20021001204.html


 暮らしていれば,許されない行為があるのはわかるだろう。そこに,唯一守るべきワイヤードの法律がある。

 ビデオゲーム業界は,ゲームによって殺人が行われるのではないとし,暴力的なビデオゲームの販売・展示を制限する条例の撤廃を求めている。それに対して一部の人は,ゲームと攻撃性の関連についての研究は進められているとし,レーティング・システムの実施を要請している。

 たとえば。舞台の上で行われている劇中で,殺人が起きたとする。だがそのとき,舞台の上にリアルの警察官があがるなど,ナンセンスであることは当然だろう。芝居をして台詞をしゃべっている役者に,手錠をかける必要などない。殺人劇の最中に本当の殺人が起きる,なんてのはありがちなドラマだが,そのときに初めて警察官は呼ばれる。その境目の境界は,舞台上の人間のわずかな意識の境界であり,観客の意識には境界線はない。迫真の演技だった,と思われて終わりかもしれない。

 ネットワーク上で起こる悪質な行為に,リアルの警察官や裁判所が出てくるときの異質さは,それに近い。ワイヤードの警察官と裁判所が出てくるのなら話はわかるが,そもそも「ここ」に住んでいない人間がなんらかの権力を持つことに,住んでいる住人は反発して当然だ。逆に考えた方がわかりやすいか。舞台の上の警察官によってあなたは手錠をはめられるのか? 舞台の上の裁判官があなたに牢獄に入ることを命じるか? ワイヤードの法律を守れ。ここで暮らすためにすべきことは,それ_だけ_だ。




 
[2002.10.01]
  生きるに信頼できる世界


 ▼米大学、新インターネット回線「IRIS」を敷設へ(MYCOM PC WEB)
  http://pcweb.mycom.co.jp/news/2002/09/30/12.html


 テロ,ウイルスとワーム,(そしてあえて云えば無遠慮な権利を主張する一部の業界,)それらにまったく無防備なネットワークから進化できたとき,生きるに信頼できる本当の世界が得られる。

 「イリス(Infrastructure for Resilient Internet Systems)」と名付けられた,データの安全化対策を施した新しいインターネット回線が,米国5大学を接続して敷設される。今後5年間の開発期間を経て,実際の稼働につなげる見通し。ネット上にデータを分散配置することで,よりデータの安全性を高める。

 なぜイリスは必要なのか? それは,あまりにも現在のインターネットが脆弱だからだ。昨年の米国同時テロ以来よく云われることだが,根本的にサーバーをサイバーテロから防ぐ手段はない。Dos攻撃はどこの誰でも行えるし,より狡猾に,または大規模に行ったら,それはネットワークの死にもつながりかねない。その解決方法として,1つのサーバーにすべてのデータがあるのではなく,さまざまなところに分散して配置する。これにより,ひとつのサーバーが潰されたとしても,そのサーバーにあったすべてのデータにアクセスできなくなることはなくなる。

 問題は,いかにその分散しているデータに効率良くアクセスするかで,そのためにDHT(ディストリビューテッド・ハッシュ・テーブル)と呼ばれるシステムが使われる。これは各サーバーが,データの配置図の部分部分をそれぞれ持っている。ひとつのサーバーにすべてのデータがあるのと同じように,分散しているデータを見つけられるようにするのだ。自分にとって都合の悪いデータがあるからと云ってそのサーバーを止めればすむことはない。情報の自由な流通をとどめる方法はない。1回の攻撃ですべてが消えてしまうような,後戻りできない世界でなくなる,という,信頼を生むシステムが,イリスなのだ。




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